子供のエントリーシートの志望動機が幼稚に見える?親が手を出す前に考えたい3つのこと

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導入

「これは、ちょっとひどいんじゃないか」

子供が書いたエントリーシートの志望動機を読んで、思わず眉をひそめた経験がある親御さんは、多いのではないでしょうか。

抽象的すぎる言葉。応募先の研究が浅い印象。何が言いたいのか伝わらない文章。社会経験の少ない我が子が初めて書く志望動機は、親の目から見ると「これでは通らない」と感じることが少なくありません。

私自身、長女が市役所の就職試験を受けたとき、志望動機を見て呆れて怒ってしまったことがあります。私はそのとき自治体職員として人事も担当しており、学生の志望動機をたくさん読む立場にありました。だからこそ、「こんな書き方では通用しない」という危機感が先に立ってしまったのです。

私たちは何度も対話を重ねて、二人で一緒に志望動機を作り上げました。合格は得られましたが、振り返ると、その対話の過程で、私は本人を詰問するような口調になってしまっていた、と感じています。

この記事では、私が採用面接官の視点過干渉だった父親の視点の両方を行き来しながら、親が手を出す前に考えたい3つのことを整理します。

なお、過干渉な親の3つの特徴と、抜け出すための具体策については、別の記事(過干渉な親の3つの特徴と、抜け出すための具体策)で詳しく書いています。本記事はその中の「特徴2:子供の失敗を恐れて手を出してしまう」の具体例です。

親が「幼稚」と感じる志望動機の典型

最初に、採用面接官として志望動機を多数読んできた立場から、親が「これはマズい」と感じやすいパターンを3つ挙げておきます。

パターン1:抽象的すぎる

「人の役に立ちたい」「地域に貢献したい」「やりがいを感じたい」 ─ こうした言葉だけが並んでいて、具体性がない志望動機です。読んでも「で、何がしたいの?」という疑問が残ります。

親の目から見ると、「こんな書き方では誰でも書ける」「もっと具体的に」と言いたくなります。

パターン2:自己中心的に見える

「自分が成長したい」「色々な経験を積みたい」「スキルを身につけたい」 ─ 自分の利益ばかりが語られていて、応募先の役に立つ視点が抜けている志望動機です。

親としては、「会社が君を成長させてくれる場所だと思っているのか?」と感じてしまいます。

パターン3:応募先研究が浅い

その会社・その自治体・その職種でなくても、どこにでも当てはまるような内容。応募先のホームページを少し見ただけで書いたような薄さ。

採用面接官としては、「この応募者は本気でうちを志望しているのか」と疑問を持ちます。

私が長女のエントリーシートを見たとき、「全部このパターンに当てはまる」と感じて、思わず怒ってしまったのです。

でも、それは本当に「幼稚」なのか

ここで、立ち止まって考えたいことがあります。

学生の志望動機が「幼稚」に見えるのは、ある意味で当然のことではないか、ということです。

社会人経験のない学生が、まだ働いたこともない会社や職種について、深い洞察をいきなり書けるはずがありません。「人の役に立ちたい」と書く学生は、嘘をついているわけではなく、それが今の本人にとって精一杯の言語化なのです。

採用面接官として多くの志望動機を読んできた経験から言うと、学生の志望動機が完璧であることなど、ほとんどないのが実情です。むしろ、本人なりに考えた跡が見える文章であれば、多少幼くても評価されるケースは多いものです。

逆に、親や先生が手を入れた「完璧すぎる志望動機」は、面接で本人の言葉と乖離して、すぐに見破られます。「書類は立派なのに、面接で何も語れない」という学生は、どこの採用現場でも珍しくありません。

つまり、親が「幼稚」と感じる志望動機を、親の物差しで測って書き直してしまうことは、必ずしも子供のためにならないのです。

親が手を出す前に考えたい3つのこと

では、親はどう関わればいいのか。私自身の失敗を踏まえて、考えたいことを3つ挙げます。

1:完璧な志望動機より、本人の言葉に意味がある

採用面接官は、書類に書かれた言葉と、面接での発言の整合性を見ています。

書類が立派でも、面接で同じレベルの内容を語れなければ、「この子は自分で書いていないな」と判断されます。逆に、書類が多少不器用でも、面接で自分の言葉でしっかり語れる学生は、好印象を与えます。

だから、親が「もっと立派に見える文章」に書き直すことには、実は大きなリスクがあるのです。本人の言葉と乖離した志望動機は、面接で通用しません

完璧な文章を目指すより、不器用でも本人が自分の言葉で書いた文章のほうが、結果として通りやすい ─ これは採用側からの本音です。

2:添削するより「質問」をする方が伸びる

それでも、子供の志望動機があまりに頼りなく見えると、何か言いたくなるのが親心です。そんなとき、添削するのではなく「質問」をすることを意識してみてください。

ただし、ここで大切なのは「質問」の中身です。「もっと具体的に書け」「これじゃダメだ」というのは、形は質問でも実質は詰問になります。子供は萎縮して、自分の言葉を出せなくなります。

本当に効果のある質問は、本人の体験や感情を引き出すものです。「どうしてその仕事をやりたいと思ったの?」「どんな場面で、その会社に魅力を感じたの?」「これまでの経験で、それに繋がりそうなことはある?」

このような問いかけを通じて、子供は自分で考え、自分の言葉を探し始めます。完成した文章は親が用意したものではなく、子供自身のものになります。

私自身、長女との対話の中で、つい詰問する口調になってしまった反省があります。本人の言葉を引き出すための質問ではなく、自分の納得のいく答えを引き出すための質問になっていたのです。同じ「質問」でも、温度感が決定的に違います。

3:失敗もまた、社会人になるための学び

最後に、最も難しいことを書きます。

子供が書いた志望動機が、親の目から見て「これでは落ちる」と思える内容だったとしても、本人がそれで提出して、結果として落ちることも、人生の大切な学びだ、ということです。

落ちて初めて、本人は「ああ、自分の書き方には何が足りなかったのか」を真剣に考え始めます。次の応募先では、より深く考えて書こうとするでしょう。これが、本物の成長です。

親が先回りして合格させてしまうと、本人は「なぜ通ったか」を理解できないまま社会人になります。社会に出てからも、自分で考えて言葉にする経験が少ないまま、何かあるたびに親に頼る関係が続きかねません。

短期的には、親が手を出した方が「結果」は良くなるかもしれません。しかし、長期的には、失敗から学ぶ機会こそが、子供を本当に成長させるのです。これは、私が娘の就活で介入し続けた末に、ようやくたどり着いた結論です。

私自身が犯した失敗

最後に、私自身の失敗を、もう少し具体的に書いておきます。

長女が市役所の就職試験を受けたとき、私はエントリーシートの志望動機を見て、本気で怒ってしまいました。「これでは通らない」「もっと具体的に書け」と詰問し、本人は涙を浮かべることもありました。

それでも、私たちは何度も対話を重ねて、二人で一緒に志望動機を作り上げました。

結果としてその試験には合格しました。

合格自体は良かったのですが、振り返ると、私の関わり方には反省すべき点があったと感じています。志望動機を作り上げる対話の中で、私は「これではダメだ」「もっと具体的に」と詰問するような口調で関わってしまったことが、何度もありました。

本人の言葉を引き出すための質問ではなく、自分の納得のいく答えを引き出すための質問になっていたのです。だから娘は涙を流したのだと思います。

もしあのとき、もっと穏やかに、本人の考えを引き出すための質問ができていたら。「ダメ出し」ではなく「対話」ができていたら。そう思います。

まとめ

親が手を出す前に考えたい3つのこと:

  1. 完璧な志望動機より、本人の言葉に意味がある
  2. 添削するより「質問」をする方が伸びる(ただし、詰問にならないよう注意する)
  3. 失敗もまた、社会人になるための学び

採用面接官の視点から言えば、親が手を入れた「完璧すぎる志望動機」は、面接で本人の言葉と乖離して見破られることが多いものです。子供の不器用な志望動機を見ても、すぐに添削に走らず、まず本人と対話してみてください。そして、その対話が詰問にならないよう、自分の口調にも気を配ってみてください。

過干渉な親の3つの特徴と、抜け出すための具体策については、こちらの記事(過干渉な親の3つの特徴と、抜け出すための具体策)で詳しく書いています。本記事はその中の「特徴2:子供の失敗を恐れて手を出してしまう」の具体例として位置づけています。あわせて読んでいただけたら嬉しいです。

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